読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

 肉が行って魚が来る  ຊີ້ນໄປ ປາມາ

ラオス語の文書を日本語に翻訳する仕事を承っております。ラオスに辿り着いて翻訳者になるまでの人生の軌跡も綴っています。

20歳の時 消防設備の会社で施工管理の仕事 6 建築現場の理想と現実

人生の軌跡

ゼネコンから大手電気工事会社が受注した建築現場で消防設備の設計、施工、現場管理に関わる仕事をしていました。

毎月140時間を超える残業・休日出勤が何カ月も続いたことで過労になり、
体調を崩して入院し、医者から診断書が出て自宅で静養していた時期がありました。

静養を経て職場に復帰したときに所属部署の課長と取締役部長を交えて三者面談をしたのですが、そのときのことを綴ります。


課長:「会社の方針としては、現場での施工は全て外注業者に依頼し、施工管理課の社員は腰道具をつけないで管理業務のみに徹して欲しい。」

私:「建築の現場が遅れてしまえば、外注業者だけでは工期に間に合わない場合がありますよね?そういった場合はどうしても間に合わせるために直営の社員が腰道具をつけて現場作業に入らないといけない場合があると思います。」

部長:「お前、この前身体を壊して休んだだろ?そもそも現場作業がなければ、そこまでの過労は無かったはず。」

私:「過労で倒れるくらい働かせておいて、それで体調を崩したらお前は自己管理がなっていないと言うのか?おかしくないか?(←心の声)」

部長:「会社としては、本来は利益になる部分を削って君たちの深夜作業や休日出勤の手当を出しているわけ。会社っていうのは現場作業をする人たちだけでなく、総務・経理・設計積算・資材購買などの色々な部署で働く内勤者たちにも給料を払わなくてはならない。君たちは現場で額に汗して頑張っていると言うけど、同時に利益分を食いつぶしていることを自覚しろ。」

私:「自分たちが工事をしなくても、それで解決するなら最善策だと思います。例えば工期が遅れた場合、どうやって間に合わせるんですか?全て外注業者さんの責任ですか?現実を言うと、とても間に合わない現場の方が多いのですが・・・」

課長:「君一人の残業手当だけで毎月15万以上は出している。他の社員はさらに残業や休日出勤をしているからもっと多く出しているのが現状。頑張っていると言いながら、この部署のメンバー達が7人で毎月最低でも100万以上の利益を食いつぶしているんだぞ、分かるか?」

私:「分かりました。それなら、腰道具はつけないで管理業務に徹することにします。工期が間に合わない場合、それはその都度、課長や部長に相談して判断を委ねていくということにします。いくらなんでも定時で終わらせて帰るのは無理難題だと思いますが、残業や休日は減らす方向で努力します。」

課長:「所属長の承認を得ないまま、無断で現場で深夜残業や休日出勤をした者は、手当を支給しない・もしくは上限を決めてそれを超過した分は出さない方針にするから」

こんなやりとりを経て、面談は終わりました。

事前に他の先輩社員たちも同じような話をされており、
納得はいかないけど会社の方針なので従わざるを得ないと言っていました。

会社の管理職の方たちは、現場を見ずにエクセルデータで作成された数字のデータだけを見て話しているのかな・・・そんな風にも感じていました。

現場が遅れたままで、消防検査の日が迫ってきた場合は誰が責任を取るのでしょうか?

それは会社の管理職の方たちの責任になるので、ヒラ社員だった私は何も言わずに方針に従うことにしました。

確かに管理業務だけになって体力的な負担が軽減され、しばらくは落ち着いて仕事をすることができました。残業や休日の手当は大きく減ったものの、それでも構わないと思っていました。


建築現場は施主が発注し、その下に設計事務所と大手ゼネコンや地元の建築業者が一つに結託し、その下に電気、ガス、給排水などの設備の業者に仕事を投げるという流れがあり

分野は違っても、どこの会社も商社が受注し、現場での施工は一定の区域を決めて家族経営でやっているような少人数の会社や一人親方のところに割り振って行くという形になっていました。

自分が働いていたような消防設備の会社は、電気工事会社から消防設備や非常用放送設備、インターホン、ナースコールなどを受注し、それをまた外注の施工業者(一人親方など)にお願いしていました。

施主・設計事務所・ゼネコン・建築業者の中で工程会議があり、

現場や図面の変更が発生したとき、本来ならば、すぐに電気・ガス・給排水の業者にもその旨を知らせて打ち合わせしなければならないわけですが、

現実はここに大きな時間のズレがあって、
会議から時間が経ってから知らされることが多かったです。

建築から出される工程表・図面・現場を照らし合わせると、
情報を知った時点ですでに時間がズレているわけですから、
電気・ガス・給排水に関する業者はそれに伴って現場作業が遅れていってしまいます。

私はこの流れについて、ずっと疑問に思っていました。

工期が遅れた分は、設備業者の代表者たちがこぞって設計事務所や現場監督のところに行き、遅れてしまって申し訳ないと陳情に行き、水面下ではお詫びの印として袖の下を包んで渡すのが恒例行事のようになっていたからです。

お詫びされたから少しは寛大に見てあげよう、でも工期には間に合わせてね。お願いしますよ・・・という話に落ち着くそうです。

工期を遅らせてから知らせるとか、修正後の図面が出てくるのが遅いというのは
実は設計事務所や建築の監督たちが袖の下を受け取るために、
明確な意図を持って仕組んでいたことを先輩社員や他の設備業者の方たちから聞いて

何ていう世界なんだと驚きました。

※ これは自分が現場作業を通じて知った話であり、
  あくまで限られた地域・限られた現場での話です。
※ 日本全国で同じことが行われているわけではありません。



確かに、一つの現場を終えて、また新しい次の現場で同じ監督や設計事務所の方と会ったときは高級車に乗り換えて羽振り良さそうだなぁと感じたくらいです。


そりゃ、いくら頑張っても現場が遅れるわけだ・・・・

若干ハタチだったころ、建築現場の理想と現実を知って、色々なことを考えてしまいました。



今日はこの辺で。

広告を非表示にする